スケッチ旅行の三日目。イタリアのボマルツォから車で30分程のところに
ヴィットルキアーノという村がある。岩山の上に石積みの家が立ち並び、
中世の山岳都市として開かれた所のようだ。村の入り口に石造りの門が
あり、それをくぐると、中世そのままの佇まいで狭い道を挟むように家々が
立ち並んでいる。道は村の中を一周してまた元の門のある広場に出るよ
うになっている。
しばしスケッチをしていると、村の作り酒屋(地元で取れる葡萄からワイン
を作っているらしい)のご主人と奥さんらしき二人に出会い挨拶を交わす。
しばらくして、先ほどの女性がワインのボトルを手に持って現れて、私に、
くださると話しかけてきた。片言のイタリア語で礼を言って頂くと、「どこから
来たのだ」と言うので、日本からスケッチに来たと話す。思いがけない贈り
物に人情の厚さを感じてしまった。ワイン蔵と思われる場所のロゴだけは
写してきたが、肝心の住所と名前を聞き忘れてしまった。機会があれば、
お礼の手紙など出そうと思う。
とても古くからの村のようで、玄関に繋がる石段の角が擦り切れているのを
発見して驚いた。年月の長さとそこで営まれた人々の暮らしぶりが伺われ
るように思う。とても静かな路地だった。




2007.10.12. F6  モロー水彩紙荒目
   ダーマトグラフ  透明水彩

ヴィットルキアーノの路地