マルチェヅィーネの町では、4時間ほど過ごすことになったが、その間に
町中を歩きながら、気に入ったところでスケッチをしてみた。小さな港の
周辺がこの町の観光スポットのようで、大勢の人たちで賑わっていた。
港から路地を北の方角へ少し歩くと、急な坂道が続いている。アーチの
下を潜るように上にのぼっていって、振り返ってみるとアーチの奥に、
ガルダ湖の湖面がわずかに見えるところがあった。急坂の石塀の中か
らは鮮やかな木々の枝葉が道の上を覆うようにのびている。
その辺りで、べつに2枚スケッチを仕上げた。それから、その急坂をさら
に上がっていくと、崖の上に古びた城跡があって、現在は、美術館として
利用されているようである。その古城の石垣からはガルダ湖に浮かぶ
ヨットも見渡すことができた。
3時の船で戻るつもりでいたが、どうやらその船は急行のグレードだった
ようで、差額を払って乗ろうとした時には、早や船は出ていた。しかたが
ないので、港着き場から見える風景をもう一枚描くことにした。その時描
いたのが、上の絵だ。
おかげで、思い出に残る絵がもう一枚増えた。失敗も悪くはないものだと、
その時改めて実感することができた。





2008.10.12.  F6
マーメイド水彩紙
 ペン透明水彩

マルチェヅィーネの港U