1.水彩画入門          

       キミ子方式に出会って

  2.風景・建物の絵を描く      
        
 3.絵を描くことを楽しむ 
  
   風景・建物の絵を描く 2
  
    
        ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 


 1.水彩画への入門

   「キミ子方式」に出会って!



 
 私が水彩画を始めたのは、今から17年ほど前のことです。

 小学校の教員をしていた私(今でも続けています)は,低学年の子どもたちに,

 授業で絵を教える事になりましたが,どうやって教えたらよいか悩んでいました。

 というのは,初めて絵の具を使う子どもたちに,どんな方法で教えたらよいか

 分からなかったからです。低学年を担当したのは,初めてではなかったのですが、

 それまで,クレヨンや色鉛筆・サインペンなどの用具に親しん
できた子どもたちが,

 絵の具と絵筆という道具を前にして,思うように使いこなせないでいることが多かったからです。

  そのころ,子どもたちと授業をしていて気がついたのは,つぎのようなことです。


  
(1)下描きが思うように描けないので,絵に自身を持てないでいる子がいる。

  (2)下描きを上手に描ける子も,色塗り(彩色)をする段階で,滅茶苦茶にぬってしまい,「自分は絵が
    へただ」と感じていることが多い。

  (3)画用紙に小さくしか描けないので,いつも「大きく描きなさい」と注意されているが,なかなか大きく
    のびのびと描けない子がいる。        

  (4)指導する側の私自身,1〜3のことが当てはまって,的確な助言がしてあげられない。授業では,
    「もっと,よく見て描くんだよ」「もっと,大きく描いてごらん」 「もっと,よく考えて描いて」などと決まり
    文句を繰り返すだけで,何ら有効な指導法をしらなかったのです。

                 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   
  そんな時に出会ったのが、「キミ子方式」という絵を描く(教える)方法です。
  私が本屋で偶然にみつけた『たのしい授業』(仮説社 03-3204-1779)という雑誌に「キミ子方式」の
 ことが紹介されていました。          
                  



 「キミ子方式」とは

  「キミ子方式」は,今までの絵の描き方と違います。その描き方とは,

 @題材によって,描き始めの一点を決めます。

 A使う絵の具は,3原色(赤・青・黄色)と白の4つ。この色を混ぜて描き始めの一点の色を作ります。

 Bその一点から「植物だったら成長の順」「動物だったら毛の流れにそって」
「人が作ったモノは作っ

  ていく順番」に,となりとなりと下描きをせず,直接
絵の具で描き進めていきます。

 C描き進めて,絵が画用紙の中に入らなければ画用紙を足して大きく,逆に,画用紙に対して絵が

  小さかったら回りの余白を切って,絵に合わせます。画用紙に合わせて描くのではなく絵に合わせ

  て画用紙の大きさを変えるのです。                                           



  そのほかにも,モデルは必ず本物のモデルを用意して描くので、想像して描くことは絶対ありません

 し,背景を描く事のないように色のついた画用紙をつかうこともあります

 このように,今まで絵を描いてきて失敗になるような要素をなくしていきます。  

                  (紹介のパンフレットより)

 誰でも楽しく絵が描ける

  この「キミ子方式」に出会ってから、子どもたちに絵を教える私の悩みも,少しずつ解決していきました。

 なによりも子どもたちの描く絵に「元気」が出てきました。喜んで絵を描き,描きあげた自分の絵を誇らし

 げに見せに来るようにもなりました。色作りの練習から始まって、空の絵・もやし・イカ・毛糸の帽子・カメ

 スイカ・マフラー・遊具で遊ぶ友達など,いろいろな絵をかけるようになりました。                      

  子どもたちに絵を教えながら,自分でも絵を描いてみたいと思うようになり、現在まで続けているといっ

 た具合です。                                  

 あなたも,「キミ子方式」で,絵を描いてみませんか。

  絵を描きたいと思っているけど、なかなかきっかけがない人,ほんとに描けるようになるだろうかと,

 二の足をふんでいる方に,是非おすすめです。だって,「キミ子方式」の絵の描き方は,誰でも楽しく絵が

 描ける方法だからです。
 〒153-0041 東京都目黒区駒場4−7−8 リバティハウス
               TEL 03−3467−3657 キミコ・プラン・ドゥ


2. 「風景・建物」の絵を描く

                1999.8.6.〜8.8  東京・上野

                キミ子方式 全国合宿研究大会資料

 1.風景画の基本は「空」の絵

  ひさしぶりの大会参加です。今回は,「風景・建物の絵を描く」人のお手伝いが,少しでもできればいい

 なと思っています。でも,建物の絵も,風景画も,実は,あまりきちんと習った覚えがないのです。こんな,

 ちょっと怪しげなことを言っていて,参加者の方には,スミマセンが……

  キミ子方式では,基本のモデルになっている「モヤシ,いか,毛糸の帽子」が一通り描けるようになる

 ことが入門期にあたります。さらに植物,動物,人工物のモデルの順に,いくつかのモデルを描いていく

 中で,「桜の木」や「サバ」「動く人」「ブリキのバケツ」「空」などの作品が出来上がって行きます。このあ

 たりが中級でしょうか。

  そして,そうした「ひとつひとつのものが,しっかり描けるようになって自信をつけた」人に,「たくさんの

  ものの集合体である風景」に挑戦してもらうという道筋になっているようです。
 
                (『宇宙のものみんな描いちゃおう』松本キミ子著 P.146「建物から空まで」参照)

 
 それでは,風景画は中級や上級にならないと始められないのか

  というと,そうでもないようです。 「空」が描けるようになって,

  何かもう一つ花や木がそろえば,それで立派な風景画になります。         

  勝浦・川津港(千葉)                   
                                    

「風景画とは,野外にある目に見えるものを描いた絵」のこと,だから,「だれでも,どこでも見られる

身近なもの」として,「空の絵」を基本にしようということのようです。ですから,もっとも取り組みやす

い風景画として,画面に空をひろびろといれて描く「空の絵」が,あるわけです。また,キミ子さんは,

「野外にあるものがひとつでもはいったら風景画といえる」とも書かれています。

(前掲書 P.158)


でも,目の前に広がる風景を前にすると,あれもこれも入れて描きたくなります。あとで,もうちょつと,

省いておけば良かったと,後悔することが,何回もありました。そこで,野外にあるもの・風景の中で

何をメインにして描くのか、何と何を組み合わせて描くか,ということが,問題になります。   

 


 2.視点になるものがテーマになる


                  「空の下になにかを組み合わせたら,空がテーマだし,木を描いて

から空を組み合わせたら,テーマは木」「さきに描くもの,視点になる

ものがその絵のテーマになる」ということだそうです。 


  有明山とわさび田(長野・安曇野)                    

 何をテーマ(メイン)にしたいかというのは,絵を書く人自身が決めればいいと言うわけですから,

 風景を前にして多いに悩んでしまいます。できれば全部をそっくりそのまま描きたいと思うからです。

  でも,自分の技術や体力,時間のことも考えなければいけません。そこで,何を残し何を捨てる

 (省く)かという事を考えながら描いていくわけです。しかし,実際は,これが意外にむずかしいと思います。

  そうした,風景画のテーマの一つとして「建物」を取り上げて描くとした

      ら,どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。









        

 建物のモデル選びについては,「なるべく形が複雑でない,レンガづくり

 の倉庫などがよい」ようです。「長年,風雨に耐えてきた建物」も,モデル

 選びのポイントだそうです。









日本近代文学館(東京)
           

また,「造られてきた順序がはっきり分かる建物,または,歴史的な建物(お寺とか神社)」も,良いモデ

 ルになるようです。



 3.「風景・建物」の絵を楽しもう  ―― ぼくの場合 ――

 ボクが「キミ子方式」に出会ったのは,今から17年前。キミ子方式のことは,『三原色の絵の具箱』シリ

 ーズで知っていたが,その夏の大会に参加してみようと思い立った。どうせ,四国の屋島まで行くなら,

 ついでに四国めぐりもしてこようと車を走らせた。

 大会では,モヤシ,イカ,毛糸の帽子を教えてもらった。絵の具箱の本に出ていたような絵が自分にも

 かけたことに感激した。


                      
                      気をよくしたボクは,勢い余って,葉書絵にも挑戦したいと申し出た

   が,「毛糸の帽子を描いてないなら,やっぱり基本だからやったほう

   がいいですよ」と,あっさり断られてしまった。夏休みの絵葉書にちょ

   うどいいと考えていたものだから,がっかり。
   



    深浦・千畳敷(青森)


                      
それでも,どうしても絵葉書を描きたくて,その夜泊まったビジネス

      ホテルの部屋で,見よう見真似で描いたのが,左の絵だ。

     
      とにかく,絵を描きたい,ボクにも絵が描けるというので,ちょっと興奮

      状態だった。

 



   屋島で拾った!


  その興奮状態に突き動かされて,次の日は高知の宇佐港の海岸で,

  海の絵を描いた。

  とても,暑い日で,缶ビール片手に飲みながら,3時間ぐらいかかっ

  たのを覚えている。 これが,中学生以来,はじめて描いた風景画

  だった。
   
 
    宇佐港付近(高知)


                     次の年も,長野の全国大会に参加した。このときは,念願の葉書絵を

     描くことができた。宿舎の庭に咲いている名前も良くわからない高山

     植物をモデルにして描いたが,枠を当ててカットすると,手作りの絵

     葉書ができ上がった。 ところが,2日目。「野外に出て描く」というのに

     参加して,風景画の難しさを思い知らされた。手前に見えるニッコウキ

     スゲなどの高山植物の細部を丹念に描きすぎて,その先その先と草原

                   を増やしていくうちに,画面の真中に来る頃に,うんざりしてしまったのだ。
 
 蝶々深山(長野蓼科) 

 

「人間は疲れる動物である」というキミ子さんの言葉を,思い出すこともできないぐらい,その時は熱中

していたのだ。手前の山の形を何とか塗り終わって,ようやく絵らしくなった。曇り空をいれてでき上がり。                                        

正直言って,とうぶん,風景はやりたくない気分だった。

  そのあとも,家の近くの多摩湖に通い,「多摩湖の取水塔」を描いたり,宮城の鬼首で見た「紅葉の山」

 を描いたりしてきたが,だんだん,風景画について,いろいろ疑問が出てくるようになってしまった。

 要するに,もうちょっと,気楽に描けたらいいのにということだ。前から細かく描くことが好きだったのだ

 が,「ウイスキーの瓶」や「植物」などのような一つのものとは違って,風景画を,その調子で書くと,とっ

 ても疲れてしまうのである。

  近代文学館のような建物を描いた時にも,一つ一つの細部にこだわってしまって,でき上がったものは

 それなりに達成感はあるもののとにかく,疲れてしまう。

 どうすれば,もっと気楽に楽しく,短時間で,気に入ったような絵が描けるか,そういうことを考えるよ

 になった。

 

 4.風景をスケッチする・彩色する

  50才を過ぎて目も悪くなり,体も,あちこち調子がおかしくなってきたボクの,手抜き「風景画の描き

 方」を紹介します。

 
  (1)  まず,画用紙は小さなモノを使う。→ 大きいと時間がかかるし疲れる。
                           
                            小さ目のスケッチブック。 
                
  (2)  エンピツ(3Bぐらい)又は     → サインペンは描きなおしをしないので,

油性サインペン(0.5か1.0ぐらい)    あきらめがつきやすい

                      

 (3)筆は,「水筆ペン」を使う      → バケツ,パレット,雑巾などの荷物が少なく便利

 (4)絵の具は,固形の透明水彩絵の具  →「水筆ペン」が使いやすい発色が鮮やか。

                         携帯用にセットになっている

(5)旅行になるべく出かける      → 新鮮な風景に出会える

                         温泉があれば最高。                                             

 (3)と(4)は,ボクの友達の岩崎真琴さんから,教えていただいたことです。

                  

 あと,キミ子方式の原則をはみだしてしまっているかなーと思うのですが,次のようなことも,

 考えながらやっています。

 

 @   なるべく人物を入れて描く(ボクは,人物を描くのが苦手)

 A   海や川,湖,池など,水のある風景をテーマにする

    (水の色や変化がおもしろいから) 

奥多摩川上流
                     

 B   筆ぺん,エンピツ,クーピー,水彩色鉛筆,油性ペン,水性ボールペンなどいろいろな

      画材を使ってみる  (自分にあった画材をさがしたい)

 

C   彩色は,なるべく薄くぬる。(ボクは,どうしても濃く塗ってしまうクセがある)

 

D   発色の良い絵の具や,紙をつかう(なるべく明るい感じの絵が描きたいから)

 

  E  描きたいものから先に描く(山とか橋など)

 

 

  

 

 

 

 

 

     蓼科山(長野)     森山渡船場からの多摩橋(秋川市)

 

さて,気楽にたのしく,風景画をこれからも楽しみたいです。

 



   ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




  絵を描くことをたのしむ

   
―――「風景・建物」の絵を描く 2――

                        2002.8.1.〜8.3.  東京・成蹊学園

                       キミ子方式 全国合宿研究大会資料

 

1.はじめに

17回の全国大会(東京・上野)に参加して以来,3年ぶりの参加です。この時の大会では,東照宮を題材
にして「建物」の絵をたのしみました。大会で講座を受け持ったこともきっかけになり,それ以後,「建物のある
                           風景」の絵を描くことが多くなり,今では,「風景画」を自分のテーマ
    にして絵を描きたいと思うようになりました。

    上野の大会で報告した資料のその後を報告できればと思っています。




  
      上野東照宮(東京)

2.なぜ風景画に魅かれるのか
 キミ子方式の絵の題材・モデルには,いろいろな物があります。「モヤシ」・「イカ」・「毛糸の帽子」の3つの基本
モデルの他にも,さまざまな題材が用意されています。私の場合は,植物や人工物のような題材が性に合ってい
るようで,人間をふくめた動物系は,どうも苦手です。なぜ好きなのか,なぜ苦手なのかは,自分でも良く分かりま
せん。好きなものは,何回も描くようになり,その結果,余計に好きになってしまうのかもしれません。

私も,「アカマンマ」「ケイトウ」,絵葉書にする「草花」などの植物や,「たわし」「ガラスのコップ」「ウイスキーの入
ったビン」などの人工物をキミ子方式で楽しんできました。また,同じ人工物でも「レンガ造りの建物」のように,スケ
ッチをして,それに色をつけていくような物が,だんだん好きになりました。そのうち,「建物のある風景」や「山や海」
「湖」など,“細かなところがきれいな物”や“広々とした景色”などをよく描くようになりました。

風景というのは,植物や動物や人工物の組み合わさったものになっているように思います。(厳密に言えば,それ
以外の物もたくさんあるように思いますが・・・)目の前にある風景を描いていく作業の中で,キミ子方式で学んできた
いろいろな題材やその描き方が生かされていくようで,それが風景画を描く楽しみの一つではないかと思います。

 

3.旅行とスケッチをたのしむ
 ここ数年,友だちとよく旅行をしたり,奥さんと2人で海外旅行に出かけるようにもなりました。ヨーロッパの国々で,
歴史のある建物や町並みなどみると,ここに何日か居れたらと思います。気に入った建物や風景をみつけ,ちょっと
時間をとってスケッチするのが旅行する楽しみの一つになりました。海外に行ったときは,ほとんど自由時間がない
ので,早起きしては近くのスケッチなど楽しんでいます。

よく出かけるようになってから,場所選びのポイントは,素敵な絵が描けそうな街ということになりました。

 今までに行った旅先でスケッチを楽しんできた所をあげてみると・・・

                        (国内)   長野(蓼科・大町・安曇野乗鞍高原) 
           千葉(天津小湊・大山千枚田)
             山梨(勝沼)

           福島(裏磐梯)など

                                    


      
勝沼ぶどうの丘(山梨)

                        (海外)  ハワイ(ワイキキ)
         フランス(オンフルール・ニース
パリ)
         タイ(プーケット・ピピレイ島)
         ドイツ(ローテンブルグ・ライン川)などです。




      ローテンブルグ(ドイツ)

旅行などに出かける時は,必ずスケッチブックを持って行くようにしています。スケッチブックに描くときは,鉛筆
やドローイングペンを使っています。時間的にも限られているので,走り描き風に描きたいのですが,「細かく細かく
を楽しむ」癖がついていて,省略して描くことがなかなかできません。また,スケッチはできても,それに彩色するこ
とは,時間的にもほとんど無理です。

                    スケッチするだけでも楽しいのですが,私はそれを彩色して仕上げたら,
    もっともっと絵が楽しくなると思っています。

    どうすれば,もっと気軽に楽しく,短時間で気に入ったような絵が描ける
    のか,自分でもいろいろ試してきました。




     裏磐梯サイトステーション前
 


4.私の「風景画スケッチ」のやり方

 (1) スケッチブックは小さめの物を。    22cm×16cmぐらい

                     時間的に余裕のあるときは,大きめのサイズ(60×47cmぐらい)で描く。

     小さな絵も
いいが,大きなサイズで描くと気持ちいいし,迫力があるよ

     うな気がす
る。だから,年に1〜2度は,大きな絵(展覧会)に挑戦して

     いる。





    ダイヤモンドヘッドから

 (2) スケッチは,鉛筆かドローイングペンで。
                      鉛筆 「スタッドラー」(ドイツ製)   2Bか4Bぐらい
                          水性ペン「ピグマ・グラフィック」
(サクラカラー製)   0.2ミリ〜 0.5ミリ 

            スタッドラーの鉛筆は、芯ホルダー型の鉛筆で、使い勝手がとても
            よい。細くして使いたいときはカッターで芯先を削っている。

              ピグマ・グラフィックは水性ペンだが,にじみがなく描けて,乾けば水彩
              もつかえるので便利だ。鉛筆でスケッチしたときは柔らかい感じに,水
              性ペンでスケッチすると形がはっきりとでて,シャープな感じになる。あと,
                           線を強調したいときには,ダーマトグラフを使うときもある。

ニュルンベルグの公園

 
(3) なるべく人物を入れてスケッチを。

  私は人物を描くのが苦手で,できたら入れずに描きたいと考えていた。
  でも,ある時から,人物を遠景でもいいから入れて描いた方がずっと楽
  しいと思うようになった。描きいれた人物が不自然な感じでも,入れない
  絵よりもずっと生き生きしてくるように思う。市場の雑踏みたいな絵が,
  描けるようになりたいけど・・・これからは,人物だけ特別に勉強したいと
  思う。
           

        ワイキキビーチ


(4) スケッチしたあとで,彩色を。

  水彩用の筆  おもに中筆(丸筆)       4号ぐらい

   以前は,「水筆ペン」という携帯用の筆を使っていたが,水加減が

   難しくて,今は使っていない。(水が筆に出過ぎて細かな所がやり

   ずらい)
 スケッチしたその場で彩色までできればいいが,旅先で

   はほとんどその余裕がないので,私の場合は,写真を撮ってきて
         フュッセン(ドイツ)
                            それを利用している。

また,スケッチしたものにだいたいの色をメモしておくこともやってみた。ただ,現場でその時に見た色は,写真で

は再現できないように思う。自分の目を通して見た色とカメラを通して見る色は,やはりかなりちがうように思う。

(美術館でみる本物の絵と,図録で見る色の違いに似ているように思う) 時間があれば,その場で一部分でも色

をつけたい。
大きな絵に仕上げるときは,大筆,中筆,小筆も使っている。



(5)透明水彩絵の具で色をつける。

    固形の透明水彩絵の具     値段はいろいろ。
   外国製で高い物も。
    値段の高いものがいいとも言えないが,外国製の絵

    の具はそれなりに色がきれいでたのしく使える。
    不透明水彩でも,淡彩にして薄くぬれば,透明水彩と

    それほど変わらないようにも思う。(最近,このやり方
       天津小湊の漁港(千葉)             を試してみた。)大きなサイズの絵を描くときは,固形

のタイプではなく,チューブの絵の具も使っている。

色作りは三原色を基本にしてやってきたが,題材にしている物の自然な色に近づけようとすると,私の場合
色がくすんでしまうことが多い。特に,木や葉の緑色を作るときにそういう感じになることがある。絵の具を
パレットの上で混ぜすぎるのかもしれない。「自然な物ほど,地味な色が多い」ということもあるが,もっと
明るい感じの色を使って絵が描きたいと思うようになり,透明水彩絵の具をつかうようになった。色を混ぜて
作るだけでなく,乾いた上から別の色を重ねるやり方もしている。



(6)出来上がったものを額に。
 

   出来上がった自分の絵を,スケッチブックの中に収めておくのもいいが,
   できたら,気に入ったものを額に入れて飾ってみたい。写真用の額は値
   段も手ごろでいい。サイズが決められていて,自分の絵の大きさに合わ
   ないことが多いが,マットの部分を自分で作ればいい。

 時には,画材店で額を選んで,自分の「作品」に仕上げるようにしている。

本物の額に入れると,なぜか立派に見えるから不思議。ぜひ,まだの方

は,試してみてください。

    ラオホビアーとトマト

 

5.もっと絵を楽しむために

  「旅行とスケッチをたのしむ」ほかに,このごろ心がけてやっていることは,次のようなことです。

 

(1)美術館や展覧会をたずねる

                      機会があれば,休みの日を利用して,よく美術館など訪
   ねています。

    仮説の冬の大会(去年)で岐阜に行った帰りに,愛知の
   美浜にある杉本健吉美術館にいきました。
大垣市の守屋
   多々志美術館にも行きたかったのですが,あいにくの大雪
   でだめでした。かわりに東京に戻ってから守屋さんの『絵
   日記入門』(小学館)という本を見つけました。日本画家の
   写生に忠実な絵日記が素敵でした。勢いで
,墨彩画セット
        フランケンワイン             を買ってしまったものの,描いたのは1枚かぎり。


最近は,山梨の県立美術館に「ポール・シニャック展」(2002.6.)を見に行きました。シニャックのことは,以前
「ゴッホ展」で買った図録に作品が載っていたので知っていたのですが,この展覧会のことはインターネットで
みつけました。

インターネットで検索すると,全国各地の美術館や展覧会の情報が手に入ります。自動車でいける範囲の所
だったら日帰りで行けそうです。
    (eArt美術館展覧会情報: http://www.eart.ne.jp/contents.asp )

 その他,東京の地の利を生かして,東郷青児美術館やブリヂストン美術館などにもよく出かけています。

 

(2)展覧会に自分の作品を発表する

展覧会といっても,ボクの場合は,勤めている学校関係の団体でやっている美術展(東京都教職員
美術展)に,ここ3年ほど続けて出しています。キミ子方式で勉強してきた仲間に進められて出品したのが
きっかけです。         

                      一番初めに出したのは,今から14.5年前のことで,その
   時は「多摩湖の夏」と「芽生え」という題で出品しています。
  それから,10年ぐらい全然出していなかったのですが,3年
  前に出品した「オンフルール旧港」で賞をもらったのがきっ
  かけになって,続けて出すようになりました。去年出品した
  「ライン河畔の町」で新人賞をもらったことも大きな
励みに
  なっています。

                                 
       オンフルール旧港(フランス)         
展覧会に出品するのは,ちょっと勇気がいることだったの
ですが,自分なりに楽しん描いてきたものを,大勢の人に見てもらえるというのも,うれしいこです。               

(3)ホームページで作品を発表する

パソコンを始めるようになって10年ぐらいたちます
が,2台目のパソコンを買ってから,自分のホーム
ページをつくりました。趣味的にいろいろやっている
ことを主に紹介しているページです。その中に,水
 彩画のページとして,自分で描いてきた絵を載せ

 ライン河畔の街(ドイツ)
ています。キミ子方式の紹介も書いています。

水彩画をホームページに載せている人は,他にもたくさんいて,その人たちの紹介サイトもたくさんあります。
他の人からメールが届いて, 感想が聞けるのも楽しいです。

 

  ボクのホームページ:  「スケッチ淡彩・水彩画の旅

                         http://www.sho-suisai.jp/

    キミ子方式公認HP:   キミコ・プラン・ドウ

                http://www.kimiko-method.com/index.html

 田中千尋さんのHP:   水彩画ネットワーク:

                http://www.ne.jp/asahi/chihiro/japan/Suisai/htm

 

私のホームページをご覧になった感想を教えてくださるとうれしいです。また,キミ子方式で絵を教えて
いる方や,楽しんでいらっしゃる方
のページをお互いに紹介しあえたら,楽しいだろうなと思います。

 

(4)好きな作家の作品を模写する 

水彩で絵を描くようになって,いろいろな画家の作品展などよく見るようになりました。その中で,特に魅か
れたのは,安野光雅とポールシニャックの二人です。安野光雅のことは,NHKの趣味百科「風景画を描く」
という番組(平成7年)のビデオを見る機会があって,前から関心をもっていました。また,安野光雅の絵が
週刊朝日の表紙になっていたのを覚えています。去年,新宿のデパートで「ヨーロッパ・絵はがき風味」と
いう彼の原画展が開かれたことがあって,そこで買ってきた画集をもとにして模写をしてみました。 

    素描用具は何を使っているのかよく分からないので見よう見まねで鉛筆やドローイングペンなどいろいろ

    試してみました。特別に際立った色は使わず,何か調和の取れた色の感じがしました。原画で見たほうが,

    色は格段に鮮やかできれいです。実物どおりではない色や,
描いていて気持ちのよくなるような色の使い

    方など真似してみたいと,一日1枚ときめて,模写をたのしんできました。










       ボルドー・フランスの模写            『ヨーロッパ・絵はがき風味』より

ボールシニャックの方は,まだ始めたばかりで,なかなか思うようにいきません。下書きをした線がはっき
りと見えないところがあって,下絵を描くのがむずかしいように思います。色のつけ方は,さらに訳がわか
りません。特徴的な色(緑,黄,オレンジ,赤,青など)がよく使われているような感じがします。どのように
重ねてあるのか,滲んだところはどうしているのかなど,よく分からないことばかりです。展覧会で買ってき
た図録より原画のほうがはるかに鮮やかな色で,原色に近い色も,図録のように安っぽい感じではありま
せん。明るくて清々しい感じの色をまねしてみたいです。

模写を続けていくうちに,そのうち,何か見つかるかもしれません。そういうことを考えながら模写をたのし
んでいます。









    ブルグ=サン=タンデオル(模写)              ブルグ=サン=タンデオル(コピー)
                                                  
「ポール・シニャック」

(5)絵を楽しむ時間をつくる

 

  学校が五日制になって窮屈になったことがたくさんありますが,勤務時間も,その一つです。東京では,今
 まで4時には退勤できたのが,五日制になってから,5時にならないと帰れなくなりました。でも,この
1時間を
 自分のために使うと考えれば,「どっちに転んでもシメタ」です。

 休憩の時間を自分だけのために使えばいいのです。ボクは,この時間を使って絵を描こうと考えました。

   学年の仕事などは,それまでになるべく終えて,4時になったら教室に
  
 行くようにしています。前の日に模写した絵に色をつける作業をしたり
   してすごします。1時間だけでできなければ,次の日は,その続きから
   やるようにします。

   何日かして一つの作品が仕上がります。それをつづけていけば,
   一月の間にかなりなことがやれます。                     

    海蔵寺(北鎌倉)

                          あと,もう一つ。休暇をとって早帰りしたときなど,馴染みの喫茶店に
                         よっては,コーヒーを飲んだりして,自分だけの時間をたのしんでいます。
                         仕事のことも,子どものこともわすれて,ゆったり本を読んだり,店の中で
       スケッチしたりして時間をすごします。
そういう、自分だけの時間の中に
      絵を楽しむことを入れて生きたいと、このごろ考えるようになりました。
  

 そういう,自分だけの時間の中に,絵をたのしむことを入れていきたいと,
 このごろ,考えるようになりました。
 

永田珈琲店で(小平) 

                                                                        2002.7.24.


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