坂のある風景

六月の午後、梅雨の晴れ間で、天気が良い。
湿度も高くなく風が気持ちよい。東京の郊外を通る私鉄の駅で降りて
東に少し歩くと、下り坂があり、見晴らしの良い風景が広がる。
この辺りに住んでいる人にとっては、見慣れた何気ない風景だが、
絵にするとなかなか難しい場所だ。線路が右上に消えていくのが
坂の下に見えていて、それをそのまま描いてくいと、上り坂のようにも
見えてくる。見下ろしの風景の困難なところだ。
近くに住む人が通りかかって目ざとく見つけ、しばらく立ち話をする。
「こんなところが絵になるのですね」と、いたく感心してくださった。

29.Jun.2012.   P6
 ダーマートグラフ
透明水彩  画用紙