水彩画入門-3-
絵を描くことを楽しむ
―――「風景・建物」の絵を描く 2――
2002.8.1.〜8.3. 東京・成蹊学園
キミ子方式 全国合宿研究大会資料
今までに行った旅先でスケッチを楽しんできた所をあげてみると・・・
(国内) 長野(蓼科・大町・安曇野・乗鞍高原)
千葉(天津小湊・大山千枚田)
山梨(勝沼)
福島(裏磐梯)など
勝沼ぶどうの丘(山梨)
(海外) ハワイ(ワイキキ)
フランス(オンフルール・ニース・パリ)
タイ(プーケット・ピピレイ島)
ドイツ(ローテンブルグ・ライン川)などです。
ローテンブルグ(ドイツ)
旅行などに出かける時は,必ずスケッチブックを持って行くようにしています。スケッチブックに描くときは,鉛筆
やドローイングペンを使っています。時間的にも限られているので,走り描き風に描きたいのですが,「細かく細かく
を楽しむ」癖がついていて,省略して描くことがなかなかできません。また,スケッチはできても,それに彩色するこ
とは,時間的にもほとんど無理です。
スケッチするだけでも楽しいのですが,私はそれを彩色して仕上げたら,
もっともっと絵が楽しくなると思っています。
どうすれば,もっと気軽に楽しく,短時間で気に入ったような絵が描ける
のか,自分でもいろいろ試してきました。
裏磐梯サイトステーション前
4.私の「風景画スケッチ」のやり方
(1) スケッチブックは小さめの物を。 22cm×16cmぐらい
時間的に余裕のあるときは,大きめのサイズ(60×47cmぐらい)で描く。
小さな絵もいいが,大きなサイズで描くと気持ちいいし,迫力があるよ
うな気がする。だから,年に1〜2度は,大きな絵(展覧会)に挑戦して
いる。
ダイヤモンドヘッドから
(2) スケッチは,鉛筆かドローイングペンで。
鉛筆 「ステッドラー」(ドイツ製) 2Bか4Bぐらい
水性ペン「ピグマ・グラフィック」(サクラカラー製) 0.2ミリ〜 0.5ミリ
ステッドラーの鉛筆は、芯ホルダー型の鉛筆で、使い勝手がとても
よい。細くして使いたいときはカッターで芯先を削っている。
ピグマ・グラフィックは水性ペンだが,にじみがなく描けて,乾けば水彩も
つかえるので便利だ。鉛筆でスケッチしたときは柔らかい感じに,水性
ペンでスケッチすると形がはっきりとでて,シャープな感じになる。あと,
線を強調したいときには,ダーマトグラフを使うときもある。
ニュルンベルグの公園
(3) なるべく人物を入れてスケッチを。
私は人物を描くのが苦手で,できたら入れずに描きたいと考えていた。
でも,ある時から,人物を遠景でもいいから入れて描いた方がずっと楽
しいと思うようになった。描きいれた人物が不自然な感じでも,入れない
絵よりもずっと生き生きしてくるように思う。市場の雑踏みたいな絵が,
描けるようになりたいけど・・・これからは,人物だけ特別に勉強したいと
思う。
ワイキキビーチ
(4) スケッチしたあとで,彩色を。
水彩用の筆 おもに中筆(丸筆) 4号ぐらい
以前は,「水筆ペン」という携帯用の筆を使っていたが,水加減が
難しくて,今は使っていない。(水が筆に出過ぎて細かな所がやり
ずらい) スケッチしたその場で彩色までできればいいが,旅先で
はほとんどその余裕がないので,私の場合は,写真を撮って
きて,それを利用している。
フュッセン(ドイツ)
また,スケッチしたものにだいたいの色をメモしておくこともやってみた。ただ,現場でその時に見た色は,写真で
は再現できないように思う。自分の目を通して見た色とカメラを通して見る色は,やはりかなりちがうように思う。
(美術館でみる本物の絵と,図録で見る色の違いに似ているように思う) 時間があれば,その場で一部分でも色
をつけたい。大きな絵に仕上げるときは,大筆,中筆,小筆も使っている。
(5)透明水彩絵の具で色をつける。
固形の透明水彩絵の具 値段はいろいろ。
外国製で高い物も。
値段の高いものがいいとも言えないが,外国製の絵の具はそれ
なりに色がきれいでたのしく使える。
不透明水彩でも,淡彩にして薄くぬれば,透明水彩とそれほど
変わらないようにも思う。(最近,このやり方を試してみた。)
大きなサイズの絵を描くときは,固形のタイプではなく,チュ
ーブの絵の具も使っている。
天津小湊の漁港(千葉)
色作りは三原色を基本にしてやってきたが,題材にしている物の自然な色に近づけようとすると,私の場合
色がくすんでしまうことが多い。特に,木や葉の緑色を作るときにそういう感じになることがある。絵の具を
パレットの上で混ぜすぎるのかもしれない。「自然な物ほど,地味な色が多い」ということもあるが,もっと
明るい感じの色を使って絵が描きたいと思うようになり,透明水彩絵の具をつかうようになった。色を混ぜて
作るだけでなく,乾いた上から別の色を重ねるやり方もしている。
(6)出来上がったものを額に。
出来上がった自分の絵を,スケッチブックの中に収めておくのもいいが,
きたら,気に入ったものを額に入れて飾ってみたい。写真用の額は値段
も手ごろでいい。サイズが決められていて,自分の絵の大きさに合わな
いことが多いが,マットの部分を自分で作ればいい。
ラオホビアーとトマト
5.もっと絵を楽しむために
「旅行とスケッチをたのしむ」ほかに,このごろ心がけてやっていることは,次のようなことです。
(1)美術館や展覧会をたずねる
機会があれば,休みの日を利用して,よく美術館など訪ねています。
仮説の冬の大会(去年)で岐阜に行った帰りに,愛知の美浜にある
杉本健吉美術館にいきました。大垣市の守屋多々志美術館にも行
きたかったのですが,あいにくの大雪でだめでした。かわりに東京に
戻ってから守屋さんの『絵日記入門』(小学館)という本を見つけました。
日本画家の写生に忠実な絵日記が素敵でした。勢いで,墨彩画セット
を買ってしまったものの,描いたのは1枚かぎり。
フランケンワイン
最近は,山梨の県立美術館に「ポール・シニャック展」(2002.6.)を見に行きました。シニャックのことは,以前
「ゴッホ展」で買った図録に作品が載っていたので知っていたのですが,この展覧会のことはインターネットで
みつけました。
インターネットで検索すると,全国各地の美術館や展覧会の情報が手に入ります。自動車でいける範囲の所
だったら日帰りで行けそうです。 (eArt美術館展覧会情報: http://www.eart.ne.jp/contents.asp
)
その他,東京の地の利を生かして,東郷青児美術館やブリヂストン美術館などにもよく出かけています。
(2)展覧会に自分の作品を発表する
展覧会といっても,ボクの場合は,勤めている学校関係の団体でやっている美術展(東京都教職員美術展)
に,ここ3年ほど続けて出しています。キミ子方式で勉強してきた仲間に進められて出品したのがきっかけです。
一番初めに出したのは,今から14.5年前のことで,その時は
「多摩湖の夏」と「芽生え」という題で出品しています。
それから,10年ぐらい全然出していなかったのですが,3年前に
出品した「オンフルール旧港」で賞をもらったのがきっかけにな
って,続けて出すようになりました。去年出品した「ライン河畔の
町」で新人賞をもらったことも大きな励みになっています。
展覧会に出品するのは,ちょっと勇気がいることだったのです
が,自分なりに楽しん描いてきたものを,大勢の人に見てもらえる
オンフルール旧港(フランス) というのも,うれしいこです。
(3)ホームページで作品を発表する
パソコンを始めるようになって10年ぐらいたちますが,2台目の
パソコンを買ってから,自分のホームページをつくりました。趣味的
にいろいろやっていることを主に紹介しているページです。その中に
水彩画のページとして,自分で描いてきた絵を載せています。
キミ子方式の紹介も書いています。
ライン河畔の街(ドイツ)
水彩画をホームページに載せている人は,他にもたくさんいて,その人たちの紹介サイトもたくさんあります。
他の人からメールが届いて, 感想が聞けるのも楽しいです。
ボクのホームページ: 「スケッチ淡彩・水彩画の旅」
キミ子方式公認HP: キミコ・プラン・ドウ
http://www.kimiko-method.com/index.html
田中千尋さんのHP: 水彩画ネットワーク:
http://www.ne.jp/asahi/chihiro/japan/Suisai/htm