サンテ・ジョバンニ・エ・パウロ教会に通じるあたりに、サン・ジョヴァンニ・
ラテラーノ運河と、もう一つの運河が合流する箇所がある。そこに架かって
いる橋の辺りで、ちょうど、なにやら撮影が始まるようで、カメラを持った
スタッフが忙しそうに動き回っている。近くには煌びやかな衣装をまとった
女優らしき人も待機していて、本番までの準備が進んでいる。
スタッフの中で、とりあえず急ぎの仕事が無いのか暇そうにしている若者が
声をかけてきた。聞けば、撮影現場のデザイン画(?)を描く人のようで、
撮影に使う現場の見取り図と配置図のようなものを見せてくれた。イタリア人
ではなく、インドかパキスタンの辺りの人のようだ。
私が水辺の風景を描いているのを先刻から眺めていて、しきりに感心して、
「貴方はマエストロか」と尋ねてきたので、「そうではないが、絵を描きながら
旅している」と返事を返すと、握手を求めてきたので、私も手を伸ばしてかた
い握手。
絵が好きな人は、どこにでもいるものだ。彼の描いたスチール画は、なかな
かの出来栄えだった。






 2008.10.08.  F6  
 マーメイド水彩紙  
 ペン  透明水彩

(サン・ジョヴァンニ・ラテラーノ運河)

水辺の出入り口をもつ建物