国分寺の駅から,国分寺街道に沿って南に行くと,野川に
架かる小さな橋がある。そこから川沿いに西に行くと「お鷹
の道」がある。江戸の昔,将軍様のお鷹狩に使われたとい
うことだが,東京の武蔵野には,今でも,所々に,そのよう
なところが残っている。
国分寺崖線に沿って東西に続くその道を暫らく歩くと,「真
姿の池」という湧水に行き当たる。この辺りには,かなり昔
から,湧水の地脈があって,土地の人が,湧き水を汲みに
来るのに出くわすこともある。
今日は,人の姿も無くゆっくりと湧水の流れを楽しめるかと
思いきや,近くの子連れの親子が自転車で2,3組やってき
て,水遊びを始めた。名水100選にもなったというわりには,
サンダル履きで水遊びに昂じる姿を目の当たりにすると,
何か情緒の無い感じがしてならない。せっかくの憩いの場
所として保存されているのであれば,何か場違いな親子の
姿を見たように思うのは,自分だけだろうか。
国分寺の遺跡や,桜門,薬師堂などを散策してから,武蔵
野線のガードを潜り,国分尼寺の遺跡公園から旧「鎌倉街
道」の切り通しが一部保存されている所に寄ってみた。車止
めがあって,自転車と歩く人以外は,通れないようになって
いた。
近くのお年寄りか,100メートルもないその道を掃除して歩く
人を見かけた。古の時代にタイムスリップしたかのような雰
囲気があって,心静かに木立を揺らして吹く風を感じながら,
スケッチしてみた。逆光の道の風景も,なかなかに気持ち
よい。暑さも忘れるほどの緑の鮮やかさを楽しむことができ
た。今日一番の収穫だったような気がする。


国分寺・桜門

31.AUG.2010.   P6
  ダーマートグラフ
    透明水彩